家系ラーメン制覇記録 薀蓄集
[家系ラーメンとは?]
横浜は新杉田の「吉村家」(現在は横浜西口に移転)を元祖として誕生したラーメンジャンルの一つ。
「吉村家」自体の開店は'70年代中頃まで遡るが(元々は「ラーメンショップ」出身らしい)、'80年代後半、当時「吉村家」の支店であった「本牧家」から「六角家」が独立した辺りから、系列店が増加していったものと思われ、現在に至っては全国に300店以上あるともいわれている。
「吉村家」の子、孫、ひ孫・・・にあたる店の多くが「○○家」を名乗っている(※1)ことから、「家系(いえけい)」と呼ばれる様になった。
また、直接「吉村家」系列店との関係はないが、その味やスタイルから強く影響を受け、同じ様に「○○家」を名乗っている店も数多くある。
そういった、いわば「模倣店」または「亜流店」の中にもレベルの高い店は存在し、子や孫を生み出している。
現在では、「吉村家」系列店、「模倣店」、「亜流店」、全てを含めて「家系」と呼ばれているのが現実である。
※1 「吉村家」系列店、「模倣店」、「亜流店」ともに「○○家」を名乗っていない店も小数ではあるが存在する。
[スープ]
家系ラーメンのスープは、醤油ベースのタレを、豚骨(これが主)・鶏ガラ・野菜・昆布などからダシをとった汁で割り、それに鶏油(チーユ・・・鶏の脂に生姜などで香り付けしたもの)を浮かせて作る。
いわば「トンコツしょうゆ」味であるが、それはおそらく前述の通り、元祖である「吉村家」が、関東地方に数多く存在する「ラーメンショップ」出身であることに関係しているものと思われる(※2)。
「関東トンコツ」などと呼ばれる「ラーメンショップ」のスープに改良を重ね、家系独自のあの濃厚なスープが出来上がったものと考えられるのである。
※2 「家系」と「ラーメンショップ」の類似点についてはまた今度書く予定。
[麺]
家系ラーメンの麺は、歯ごたえのよい極太のストレートタイプが主流である(※3)が、ほとんどの店の麺は、製麺所から納品されたものである(※4)。
もっともポピュラーなのは「吉村家」が使っている「酒井製麺」のモノ。
この「酒井製麺」はもともとうどんの麺を得意としていた製麺所で、そのノウハウを生かし、あの極太ストレート麺が作られたとされている。
その「酒井製麺」製の麺の中でもいくつか種類があり、「吉村家」と同じ麺を使うためには、「吉村家」の許可が必要だとか。
また、「酒井製麺」の他にも、数多くの店が使用している有名な製麺所として、「丸山製麺所」、「大橋製麺」、「長多屋製麺所」、などがある。
※3 最近では、スープによく絡むとの理由から縮れ麺を使う店や、好みに合わせて細麺も選べる店もある。
※4 自家製麺をしている店もほんの僅かだが確認されている。
[具]
家系ラーメンの具は、チャーシュー1枚、ほうれん草少々、大判ノリ3枚、の3点が基本(※5)。それに薬味のネギが少々。
[チャーシュー]
チャーシューとは本来「焼豚」のことを差すのが当たり前だが、実際にはスープのダシを取る際に使った「煮豚」(主にバラ肉)を使用している店も多く見られる。
中には肉の旨味が搾り取られてしまったカスカス状態のモノを使用している店もあり、俗に「家系のチャーシューは旨くない」と言われているのはそのせいだと思われる。
尚、最近の「吉村家」直伝店では香ばしく薫製されたロース肉を使用しているのだが、とにかくとても小さくて薄く、これはこれで考えものだと思われる。
[ほうれん草]
ほうれん草は冷凍輸入された中国産に残留農薬問題があったせいで国内産の値段が急騰。その為代用として、小松菜など(※6)を使用している店もある。
[ノリ]
ノリは厚くしっかりしていて、なかなかスープに染みないものが良いとされている。
そのノリをスープに浸し、ラーメンといっしょに頼んだライスに巻いて食べるとなかなか旨い。
※5 模倣店の代表格である「壱六家」系列の店ではこれにウズラ卵1ケが加わる。
※6 小松菜以外にも、ネギ、ワカメ、キャベツ、カイワレ、メンマ、モヤシ、などが確認されている。
[メニュー]
家系ラーメン店は本来「トンコツ醤油ラーメン専門店」であり、メニューはラーメン(並・中・大)、チャーシューメン(同)とそのトッピング(後述)のみ、サイドメニューとしてはライス、ビールのみが基本である。
しかし、現在は系統の細分化、「模倣店」、「亜流店」の増加に伴い、基本のトンコツ醤油味のラーメン以外にも塩ラーメン(醤油ダレの代わりに塩ダレを使用した塩トンコツ味)、ミソラーメン(塩と同様)やつけ麺(麺とスープが別で出てくるもの)、さらにはトンコツ醤油味とは全く無縁の中華そば(※7)等を出す店もある。
サイドメニューとしては、一般のラーメン店では定番の餃子や、チャーシュー丼・ネギ丼等(もとは従業員の賄い飯であったと思われる)を出す店が数多く見受けられる他、ビールのつまみとして単品チャーシューやキャベチャー(キャベツと細かく刻んだチャーシューをタレであえたもの・六角家が元祖)等を出す店もある。
また、もともと中華料理店だった店が家系(風)ラーメンを出している場合や、ファミレス風またはドライブイン風(※8)な店作りをしているチェーン店等もあり、そういった店では当然ながらメニューも多岐に渡る。
※7 中華そばを出す店としては、埼玉に本拠を置く「石川家」系列が有名。
※8 ファミレス風としては「横濱家」チェーンや「大桜」チェーン、ドライブイン風としては「山岡家」チェーンがある。
[トッピング]
家系ラーメン店では別料金を払うことで、前述の基本3点の具にプラスして様々なトッピングを乗せることが出来る(※9)。
主なものとしては、ノリ増し(+5枚程度)、玉子(半熟・味付が主流)、ネギ(白髪ネギが主流)、茎ワカメ、キムチ、ウズラ増し(前述の「壱六家」系列)、キクラゲ等があるが、他にも店によって多種多様なものがある。
特筆すべきは同じトッピングでも店によってかなり値段が違うということ。
例えば味玉はほとんどの店が100円であるが最近の「吉村家」直伝店の様に100円以下の店もある。
またノリ増しも50円の店と100円の店があったりと、その値段設定によって、ある意味、良心的な店とそうでない店が見分けられるのである。
※9 トッピングを乗せたラーメンを「ノリラーメン」、「玉子ラーメン」といった様に別メニューとしている店もある。
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